高配当株ツール

銘柄スクリーナーの使い方 -- 高配当株の発掘ステップを実例で解説

2026年4月21日

「高配当株を買いたいけれど、どうやって銘柄を見つければいいかわからない」という声は非常に多く聞かれます。SNSやYouTubeで紹介されている銘柄をそのまま買うのは手軽ですが、なぜその銘柄が良いのかを自分で判断できなければ、暴落時に保有し続ける根拠がなくなります。

この記事では、銘柄分析ツールのスクリーナー機能を使って、自分の基準で高配当株を見つける実践的な手順を解説します。フィルタ条件の設定例、検索結果の読み方、候補銘柄の深掘り方法まで、一連の流れを具体的に紹介します。


スクリーナーとは何か

スクリーナー(Screener)は、数千銘柄の中から特定の条件に合致する銘柄を自動で絞り込むためのフィルタリングツールです。日本語では「銘柄選別ツール」とも呼ばれます。

高配当株投資では、以下のような指標をフィルタ条件として設定し、投資候補を効率的に見つけます。

これらの条件を組み合わせることで、「利回りは高いが財務が脆弱」「利回りは低いが増配余力が大きい」といった銘柄を事前に振るい分けることができます。


スクリーナーを使う前の準備

自分の投資基準を決める

スクリーナーは条件を設定するツールです。そのため、「自分はどんな銘柄を買いたいのか」という基準を先に決めておく必要があります。基準がない状態でフィルタを触ると、条件を変えるたびに違う銘柄が出てきて判断がブレてしまいます。

まずは以下の3つを決めてからスクリーナーを開きましょう。

  1. 配当利回りの下限:何%以上の銘柄を狙うか(例:3.75%以上)
  2. 財務健全性の基準:自己資本比率は何%以上を求めるか(例:40%以上)
  3. 配当の持続性:配当性向は何%以下を安全とみなすか(例:60%以下)

最初から完璧な基準を作る必要はありません。スクリーナーで実際に検索してみて、「条件が厳しすぎて銘柄が出ない」「緩すぎて多すぎる」と感じたら、基準を微調整していけば大丈夫です。


実践:フィルタ条件の設定例

ここからは、実際のスクリーナー画面での操作手順を解説します。銘柄分析ツールのスクリーナーを開いて、一緒に操作しながら読み進めてください。

パターン1:堅実な高配当株を探す(初心者向け)

初めてスクリーナーを使う方におすすめの設定です。リスクを抑えつつ、安定した配当が期待できる銘柄に絞り込みます。

フィルタ項目設定値設定理由
配当利回り3.75%以上税引後でも3%程度の利回りを確保するため
自己資本比率40%以上倒産リスクの低い健全な財務体質に限定
配当性向60%以下利益に対して配当が重すぎない銘柄を選ぶ
売上高500億円以上ある程度の企業規模を確保し、安定性を担保

この条件で検索すると、通常20〜40銘柄程度に絞り込まれます。ここから個別にチェックしていく流れです。

パターン2:増配期待の成長型高配当株を探す(中級者向け)

現在の利回りだけでなく、将来の増配による「簿価利回り向上」を狙う設定です。

フィルタ項目設定値設定理由
配当利回り3.0%以上現時点で最低限の利回りは確保する
配当性向50%以下増配余力が大きい銘柄に限定
自己資本比率50%以上財務に余裕がある企業を重視
EPS成長率プラス利益が成長していれば増配の可能性が高い

この条件では利回りのハードルをやや下げる代わりに、配当性向とEPS成長に厳しめの基準を設けています。「今は3%でも、数年後には4〜5%になる銘柄」を見つけるための設定です。

パターン3:高利回りのバリュー株を探す(上級者向け)

市場で過小評価されている高配当株を見つけるための設定です。リスクは高まりますが、大きなリターンが期待できます。

フィルタ項目設定値設定理由
配当利回り4.5%以上市場平均を大きく上回る高利回りに限定
PBR1.0倍以下純資産に対して株価が割安な銘柄
自己資本比率30%以上最低限の財務健全性を確保
配当性向70%以下極端な高配当性向の銘柄を除外

PBR1倍割れの高配当株は、東証の改善要請を受けて株主還元を強化する可能性が高い銘柄群です。ただし、PBRが低い理由(業績悪化・構造的問題等)がある場合もあるため、個別の精査が必須です。


検索結果の読み方

フィルタを設定して検索ボタンを押すと、条件に合致する銘柄の一覧が表示されます。ここで重要なのは、表示された銘柄をそのまま買うのではなく、さらに深掘りして判断するという点です。

一覧画面でチェックするポイント

  1. 利回りの高さだけに飛びつかない:利回りが異常に高い銘柄(6%以上等)は、株価が急落した結果として利回りが上がっている可能性がある。必ず株価チャートを確認する
  2. 配当性向が100%に近い銘柄は要注意:利益のほぼ全額を配当に回しているため、業績が少しでも悪化すると減配される
  3. セクターの偏りを確認:検索結果が特定のセクターに集中していないか。銀行ばかり、建設ばかりになっている場合は、フィルタ条件を調整してセクター分散を意識する

一覧から候補を絞る基準

検索結果が30銘柄あった場合、全銘柄を詳細分析するのは現実的ではありません。以下の優先順位で10銘柄程度に絞り込みます。


候補銘柄の深掘り方法

スクリーナーで候補を絞り込んだら、次は個別銘柄の詳細分析です。ここが「自力で分析する」ための核心部分になります。

ステップ1:過去10年の配当推移を確認する

銘柄分析ツールの個別銘柄ページで、過去10年の配当金推移をグラフで確認します。以下のパターンで判断します。

配当推移のパターン評価判断
10年連続増配最も望ましい投資候補の上位に
おおむね横ばい(減配なし)安定的安心して保有できる
増配と減配を繰り返す不安定業績連動型のため慎重に
直近2〜3年で急増配要確認特殊要因(記念配当等)の可能性

ステップ2:配当性向の推移を確認する

配当金だけでなく、配当性向(配当金 / 1株利益)の推移も確認します。配当金が増えていても、配当性向が年々上昇している場合は、利益の成長を伴わない「無理な増配」の可能性があります。

理想的なのは「配当金は増えているが、配当性向は40〜50%程度で安定している」パターンです。これはEPS(1株利益)の成長に伴って自然に増配できていることを意味します。

ステップ3:業績(売上高・営業利益・EPS)の推移を確認する

配当の原資は利益です。利益が減少傾向にある企業は、いずれ配当を維持できなくなります。以下の点をチェックします。

ステップ4:自己資本比率と有利子負債を確認する

財務の健全性は、景気後退時の耐性を示します。自己資本比率が40%以上あれば、多少の業績悪化でも配当を維持できる体力があると判断できます。

有利子負債が大きい企業は、金利上昇局面で支払利息が増加し利益を圧迫するため、特に2026年の環境では注意が必要です。

ステップ5:株価の割安度を確認する

良い銘柄を見つけても、株価が割高であれば買いのタイミングではありません。以下の指標で割安度を判断します。

スクリーナーは「候補を見つけるツール」であり、「買う銘柄を決めるツール」ではありません。スクリーナーで絞り込んだ後に、上記5ステップの深掘り分析を行い、自分の納得感を持って投資判断を下すことが重要です。


実例:スクリーナーで見つかる銘柄の具体イメージ

パターン1の条件(利回り3.75%以上、自己資本比率40%以上、配当性向60%以下、売上高500億円以上)で検索した場合に出てくる銘柄のイメージを紹介します。

銘柄名セクター利回り目安注目ポイント
三井住友FG銀行3.8%累進配当方針、メガバンクの安定感
三菱HCキャピタルリース3.9%連続増配25期超、配当性向も低め
積水ハウス建設3.8%連続増配、住宅業界のトップ企業
KDDI通信3.3%連続増配20期超、ディフェンシブ
住友商事商社3.9%累進配当、商社の中でも利回り高め

このように、スクリーナーで条件を設定すると、自分の投資基準に合った銘柄が効率的にリストアップされます。あとはこの中から深掘り分析を行い、実際に買う銘柄を決めていく流れです。


よくある失敗パターンと対策

失敗1:条件を厳しくしすぎて銘柄が見つからない

「利回り5%以上、配当性向30%以下、自己資本比率60%以上、連続増配10年以上」のように条件を盛り込みすぎると、該当銘柄がゼロになることがあります。まずは2〜3項目の条件から始めて、徐々に条件を追加していくのが実践的です。

失敗2:スクリーナーの結果をそのまま全銘柄購入する

スクリーナーはあくまで一次選別のツールです。表示された銘柄すべてが優良銘柄とは限りません。必ず個別の深掘り分析を行い、自分で納得した銘柄だけを購入してください。

失敗3:一度の検索で終わりにする

株価は日々変動するため、先週は条件に合わなかった銘柄が今週は該当する場合もあります。月に1回程度はスクリーナーで再検索し、新しい候補銘柄がないか確認する習慣をつけると、投資機会を逃しにくくなります。


まとめ

スクリーナーを使いこなすことで、「誰かのおすすめ」に頼らず、自分の基準で銘柄を発掘できるようになります。最初は慣れない作業ですが、2〜3回繰り返せば自然に流れが身につきます。ぜひ銘柄分析ツールのスクリーナーで試してみてください。

関連記事

【中級者向け】脱・おすすめ銘柄!自力で分析する方法 【中級者向け】高配当株分析の5項目で優良企業を見抜く 2026年に注目すべき高配当セクターと業種別の投資戦略 【中級者向け】過去の平均利回りで割安度を見極める
この記事を書いた人
酒井 紀之(さかい のりゆき)
WorkSnow代表。高配当株投資歴5年以上、国内高配当株を中心に150銘柄以上を保有・運用中。配当金によるキャッシュフロー構築を実践しながら、その経験をもとに投資分析ツール「高配当株ツール」「銘柄分析ツール」を開発。初心者にもわかりやすい情報発信を心がけています。